旅に出ることでわかる真実 Being True to Who You Are

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ニューヨークから日本に帰ってきた。
旅に出るということは、日常の自分から抜け出すことだ。
それはつまり、私にとって、自分が普段抱えている役割や人との関わりを断ち、馴染みのない場所にいき、知らない人達の中に囲まれて、何者でもない自分になるということ。
その過程で普段見えていなかったしがらみや、透明になっていた価値観が浮き彫りになってくる。
●出る釘は打たれる日本 VS 個性万歳のアメリカ
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幼少期をアメリカで暮らした私にとって、日本というのは、調和を重んじる国民性。だからか「他人にどう見られるか」を知らず知らずのうちに気にしてしまう人が多い気がする。
外見からだけでもそれは伺える。流行のファッションに沿って皆同じような服に身を包み、雑誌を真似して同じようなメイクをし、髪型も、自分に似合っているかどうか、よりも、盲目的にトレンドを追い求めるように感じられる。
生き方にもそれは反映されている。女性の場合、適齢期がきたら結婚をし、子供を産み、と、社会が期待する人物像になろうとしている人が多く、そうできない人は、そんな自分を責めたり不安に思っているかのように感じられる。数十年前に比べたら、一見そういう風潮はなくなっているかのように思われるが、いざ、日本を出てみると、社会が求める像、という透明のベールにすっぽり被っていたことに気づくのだ。
では、アメリカはどうか、というと、私の目から映るニューヨーカーは、「自分が好きかどうか」「自分がどうしたいか」をまず最初に持ってくる。服装もバラバラで、行き交う人々を見ていると、自分なりのスタイルを確立しているように見えた。それは意思表示でも同じで、「私はこう思う、なぜならば~」と自分の主張をはっきりとする。多民族で成り立っているアメリカの社会、特にニューヨークのような街では自己主張しないと成り立たない、という背景も関係しているのだが、「私は私である。どうだ!」というエネルギーがビンビンと伝わってくる。
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(何歳になってもファッションを楽しむニューヨーカー)
いうまでもないことだが、どっちが良くて、どっちが悪い、ということではない。
ただ、比べてみることで国民性の違い、そして、どの国に身を置くか、で知らず知らずのうちにその国の持つ価値観や常識に覆い被されてしまいがちだ、ということを、旅に出る度に思い知らせる。
●私にとってのニューヨーク
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なぜか昔からニューヨークに惹かれていた。だからこの街で個展ができる機会を得たときに、そのチャンスに飛びついたわけなのだが、改めてなんでこんなにニューヨークに惹かれるのだろうか?と考えた時に、一つの答えが出てきた。
それは、「私にとって最も大切なことは何か」を嫌でも教えてくれる街だということ。
日本に長く身を置くことで、自分にとって大切なことよりも、周りの人たちが自分に期待することに重きを置いてしまっていたことに気づいたのだ。それが積もり積もるほど、自分の内なる声を聞くことができなくなっていった。「人生をどう生きたいのだろう?」という問いに対して、曖昧な答えしか出てこず、自分の生きる道はこれでいいのか?と不安になる場面が沢山あった。
ニューヨークで個展をするにあたって、改めてそれらの問いを空白に持ちながら、日々を過ごして行った。
そこから浮かび上がってきたのが、「闇を照らす存在でありたい」ということ。
前回の記事で、私の作品の根本に流れているのは陰陽の哲学だと書いた。
陰と陽のセットで一つとする時に、一般的に人は「陽」の光の部分を追い求めてしまいがちになる。
だって悲しみや苦しみを感じているよりも、喜びや嬉しさを噛みしめていたいじゃない?
嫌なことに目を向けるよりも、楽しいことを考えていたいじゃない?
でも、「陰」の陰の部分があってこそ、「陽」は光り輝くもの。
だから、敢えて「陰」に重きをおくこと、つまり、闇を照らすこと、が大事だと心底実感したのだ。
成功と挫折の象徴のようなニューヨークは正に陰陽をこれ以上になく表現していて、
自分がこれまで何となくそうだなぁと思いながらも確信に至らなかった核を、この街でつかむことができた。
旅をすることは、自分を発見すること。
これからも定期的に日本を出ながら、自分にとっての真実を突き詰めていきたいと思う。
あなたが今一番行きたい国はどこですか?
あなたにとっての、「真実」は何ですか?
 
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2016.10.4 Tuesday(*KAYO-BI)
Kayo Nomura
*KAYO-BI:毎週火曜日にブログを更新しています。

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