手で書く行為、あるいは村上さんの「小さな変化」Note and Pen

月に一回、芸術家支援サービスmeceloに登録くださっているサポーターの方に、
プランに応じた郵送物を送っている。手紙もしたため、同封している。

 

転校が多かった幼少期を過ごしたことから、必然的に文通をすることが多く
(今みたいにSNSないしね)、その影響か、今も手紙を書くのがすこぶる好きだ。

 

便箋を用意して、文字を書き、封筒に入れて、切手を用意して、ポストに投函する。

 

メールを送信するよりも俄然、工程が多い手紙文化はもしかしたら時代の流れとともに廃れていってしまうのでないか、という危惧もあるけども、この自粛生活の中で、よりいっそう、手書きっていいな、って思うようになった。

 

 

話は変わって先週の金曜日、Tokyo FMの村上ラジオを聴いた。
そう、あの村上春樹さんによるラジオ番組だ。

 

この時期に合わせて「明るいあしたを迎えるための音楽」がテーマの特別版だった。

 

選曲も、リスナーの相談や内容に間接的に答えるものであったり
回答に余白を含ませている、その様にジーンとくる濃い2時間。

 

その中でリスナーの方の
「感染拡大後、一番変わったことは、常に「自分が大切にしたいものはなんだろう」と問われている気がしていることです。今できること、できないことは関係なく。人やもの、趣味、すべてにおいて。村上さんはどうですか?」

 

という問いに対して、村上さんはこう答えていた

「コロナ・ウイルスのせいで、ぼくらの日常生活にはいろんな変化がありましたよね。大きな変化から小さな変化まで。僕の生活にも変化はありました。大きな変化について話すのはけっこう大変なので、小さなことを話しますね。僕はここのところなぜか、万年筆とインクを使って字を書くようになりました。もう二十年くらい使っていなかった万年筆をひきだしの奥から引っ張り出しきて、新しいインクを買って、字を書いています。すると、なんだか気分がいいんです。ああ、字ってこういうものだったよな、みたいな懐かしさを感じます。だから、あなたもそういう日常生活における「小さな変化」を、リストアップしてみるといいと思いますよ。そうすれば、あるいは「大きな変化」も見えてくるかもしれません。」

(引用:村上ラジオ

 

はたまた先日、東京蔵前にある文房具店のKakimoriがインスタライブを開催していた。
(昨年、ワークショップをさせていただき、またグリーティングカードのコラボでお世話になりました)

 

そこで、代表の廣瀬さんは
「ノートを通して、自分の気持ちを整理したり、
テーマを決めてやりたいことを綴ったり、
様々な形でノートを活用してほしい」
という趣旨のことを伝えていた。

 

●まとめ

 

あえてノートに、あえて手書きで書く必要なんて
この時代、ないのかも知れない。

 

だけども、家にいる時間が多いからこそ
いつもと違う流れ方がするからこそ、
お気に入りのノートとペンでじっくり自分と向き合うために、
未来のことを考えるために、手書きの時間をお勧めしたい。

 

きっとパソコンで書くそれとは異なる思考と時間の流れを
感じることになると、思う。

 

そして、その「小さな変化」こそ
やがて大きな変化に結びついていくものだ、と。

 

2020.05.26
Kayo Nomura