瞑想するための予約制ギャラリー Where Time Stood Still
先週、兵庫県立美術館を訪れたことを書いたが、コロナの影響で美術館もギャラリーも、予約制を導入しているところが多い。
事前にオンラインで予約をし、当日予約した日時に行く、という流れだ。
言わずもがなだが、三密を避けるための仕組みだ。
何度も展示をさせていただいている、大阪の池田市にあるGULI GULI galleryも同じような対策をとっている。
私が訪れた7月、1時間1組という贅沢な予約制を導入していた。
ギャラリストの方曰く
「大抵の方は1時間も絵を観るってどういうことなのだろう?と思いながらギャラリーに入られます。最初の15分はソワソワしているご様子。でも戸惑いながらも、そのままい続けると、自然と場に馴染んでこられ、ゆっくりと絵と対話する時間を持つことができる。そして気付いたら1時間経っていた、と感じられる方が多いです。
今まで、絵を見ているようで、実は見ていなかった、ということに実感される方もいらっしゃいます。
そういう意味で、ご家族や友人で来られる方もいますが、可能であればひとりで来て、ゆっくりと絵をご覧になることをお勧めします。」
とのこと。
実際、私も試してみて、同じように感じた。
以下、当日の様子を書き留めたメモをそのまま引用する。
「予約して、一人で、この大きな空間と対峙できるということは、森の中で深呼吸をするような、なんとも贅沢な時間だった。
最初の5-10分は、「1時間も?」と、ソワソワする気持ち。
しかし、時間の経過と共に、作品たちに囲まれながら自然と、絵を通して表現したいことについて考えたいと思い、降って湧いてくる想いをノートに書き殴った。途中、雨がざあざあ降り出し、緑豊かなGULIGULIの木々を眺めながら、豊かだなぁ、と時が止まった感覚が。
心が震えた。
その震えとともに、涙が出そうになる。
豊かさというのは、今ここに根ざして生きる、ということ。
それを身をもって体感した時間だった。」
仮に、あの空間に他の方もいたとしたら、同じように感じることはなかっただろうと思う。
無意識的に、周りの人の気配を感じ取ってしまうからだ。
完全に一人きりだったからこそ、安心して心をまるっきり解放し、絵に囲まれた空間にいることができた。
コロナが終息しても、予約制のシステムが残るといいな、と思う。
座禅のような、瞑想のような、本当に豊かな時間だったから。
来年の5月にGULIGULI galleryで3度目の個展をさせていただくが、
予約制の日程を組み込めることができたら、いいな。
2020.08.04
Kayo Nomura
追伸:1階のカフェレストランにはこんな美味しいご飯も食べられちゃうのだ。