多様の中の調和 Through Monet’s Work


まだ描き出して間もない2015年に、
神戸市博物館でチューリッヒ美術館展が開催されていた。

そこでの展示は今でも鮮明に覚えていて、
なかでも2つの作品が目に焼き付いた。

そのうちの一つがモネの作品
「The Water Lily Pond in the Evening(睡蓮の池、夕暮れ)」。

本場のチューリッヒ美術館では上記に加えて
3点の大作がひとつの部屋に展示されていた。

(Waterlilies Pond Green Reflections,
The Waterlilies Pond with Lilies )

どれも約2m x 6mの大作。

それらの作品たちの静かなエネルギー量に圧倒されつつも、
ひたすら癒される体験だった。


ところ変わって今日は
京都の大山崎山荘美術館へ。

地中館「地中の宝石箱」(安藤忠雄設計)にも
モネの「睡蓮」の連作が。

展示されていたのは2m x 2m のもので
パリのオランジュリー美術館への壁一面を埋めつくす大装飾画への
取り組みとなった作品。


モネの睡蓮の作品はどれだけ眺めても飽きない。
なぜ飽きないのだろうか?

色々な要因があると思うが、
私には3つのポイントがあるように思えた。

1) エネルギーのうごめきが感じられる
2) 光と陰が反映されている
3) 色合い全体が調和している

その中でも3つ目の色合いの調和について考えたい。

モネの作品は近づいて観察してみると
実に様々な色を重ねて描かれているのがよくわかる。

緑と茶と青を組み合わせて睡蓮の池の色合いを描いていたり
睡蓮の色も同系色の中に赤や黄色をところどころ組み合わせたり

近づいてみると、「この色の組み合わせ合うの?」と思えるものが。

それでも、遠くで眺めてみると、
一つ一つの色合いがなくてはならないものだということを実感する。

一見近くで見るとちぐはぐに感じられる作品が
遠目で見ると全体として調和して感じられるのだ。


「調和」
これの言葉は、作品制作の際のキーワードになっている。

もっと言うと、
「複雑だけども調和している」
このような作品を目指している。

それはなぜか?
私たちの目の前を見たら明確だ。

私たちの世界は実に多様な人たちでいっぱいだ。
人種も性別も考え方も宗教も価値観も
一人として同じ人はいない。

そしてそれは、年々多様になってきている。

10年も前から企業ではDiversityの重要性が
叫ばれてきたが、今ほど、多様性が大事な時はないと思う。

そして、その多様な中での調和、も。

「多様だからこそ、調和している。」
目指していきたい世界を、描いていきたい。

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2019.8.20 Tuesday(*KAYO-BI)
*KAYO-BI:毎週火曜日に更新しています。