創造性の源 Source of Creativity

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昔から海に、どうしもうもなく、惹かれる。
海沿いで育ったわけでもなく(むしろ土地に囲まれている名古屋で生まれ育った)
泳ぐのは下手だし(どちらかというと水面にいるのが怖いと言っても過言ではない)
それでも、定期的に海を見たくなる。
そんなわけで、広島の宮島へ。
 
●カタチというのは、そもそもあるのか
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海を眺めながらスケッチを試みた。
すると、線の連なりのような、とらえどころのないスケッチになった。
その行為を繰り返しながら
海も雲も、太陽の傾きも、刻一刻とそのカタチを変えゆく中で、
そもそも、カタチというものは、あるのか?
という素朴な疑問に行き着いた。
 
●デッサンの悪夢
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もともと、私の作品の多くは、
カタチがあるようでないものが多い。
それは、私にとって、絵を描くということは
カタチのない概念を紙面に落とし込む行為だから。
そして、
カタチのないものを紙面にとらえることこそが
絵を描く醍醐味だと感じている。
だから、写実的な作品には全く興味がない。
デッサンも、だからか、苦手だ。
(もちろん、絵を描く過程の中で絶対に学ぶべきものだとは思うが)
そもそも、目の前の現象にみえるものを、
そのまま描くことに、何のメッセージ性があるのか、
何の面白みがあるのか。
極端なことを言えば
「私はこんなにうまく絵を描くことができます」
という自慢にしかならないのではないか。
 
●この世は小さな粒子で出来ている
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ここで、いきなり物理の話に飛ぶが、
世界は素粒子でできている、と私は考えている。
解明できていない分野の話で、何が正解かはわからないが
正しい正しくない、というのは置いておいて、
ここでは私がどう世界を捉えているのか、
という話をすると
すべてのカタチあるものは、小さな粒で出来ている。
だから、粒の連なりで出来ている作品も描いている。
怪しく聞こえるかもしれないが、
私にとって、世界のカタチは、自由自在に動き回るもの。
だからこそ、海にどうしようもなく惹かれるのかもしれない。
わかりやすく、瞬時に姿カタチを変えていくものだから。
 
●創造性の源
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私にとって、海という存在は、創造性の源なのだ。
浮かんでは消えゆく波は、
刻一刻と変化し続ける私たち自身を反映しているように感じられるし、
すべてのものに永遠などというものはないということを知らせてくれる存在だ。
その一瞬の中に、永遠を閉じ込める行為、
それこそが私が絵を描いている理由の一つ。
そして、その画面を眺める本人の気持ちや状況によって
同じ作品も、またその風合いを変えていくものだと思っている。
こう考えると、絵を描くという行為は
なんて難しくて、贅沢な行為なのだろうか
と思わずにはいられない。
そして、だからこそ、思う、
私は一生かけて、海を捉えるようなスタンスで
絵を描き続けていくのだろう、と。
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2016.8.30 Tuesday(*KAYO-BI)
Kayo Nomura
*KAYO-BI:毎週火曜日にブログを更新しています。

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