水という魔法 Magical Water

突然だが、先日、とある集まりで「水」に関するエッセイを書いた。


水。

その存在に魅了される。

 

例えばその姿と形。

どんな入れ物の中にも入り込む。

あらゆる物体の中に浸透する。

水道を捻れば、姿も形も留めることなく、ひたすら流れゆく。

そうかと思えば、氷点下になればカチコチに凍り、炎天下では瞬く間に蒸発する。

 

状況に合わせて、様変わりするその存在に魅了される。

 

川のほとりで目を閉じる。

ひたすら水の流れる音に耳を澄ますと、ざわついていた心が静まり返る。

やがて自分の体内にある水分と共鳴し、響き合う。

内側と外側が渾然一体となり、混ざり合う。

 

自分が地球の一員だということを、思い出させてくれるその存在に魅了される。

 

筆に水を含ませ、水彩絵の具を溶く。

紙に触れた瞬間に、色が紙面に溢れ出す。

重ねた色に応じて、織りなすグラデーション。

 

シンデレラにとってカボチャが馬車になるように、

私にとっての水は、絵を描く際の魔法そのものだ。

 

2020.09.22
Kayo Nomura