旅をすること、リズムを壊すこと Improvisation and Rhythm
毎日のリズムをそのまま突き進めていく時期と、それを土台から壊していく時期が、ともにある。
日常のリズムを打ち切る最たるものが、旅だ。
旅に出て、非日常の中に身を置くことで、自ずと日常がリセットされ、「破壊」の時期に移行する。(破壊、という言葉を使うといささか大袈裟ではあるけども、私にとって、旅に出ることは、一旦積み上げた積木を土台から崩すようなイメージも伴う。)
普段の私はどちらかと言うと、日々のリズムを大切にする。
例えば、午前中はインプットの時間、午後は制作の時間、というように時間帯によって取り組むことを変えている。一旦そのリズムが構築できたら、それに乗っ取って毎日を遂行する。
が、旅に出ると、そのリズムは不調和音を奏で出す。
1日中制作したり、一気にまとめて読書をしたり、美術館巡りをすることに日常が塗り替えられるからだ。
スケジュール帳に「日々のTo Do」にチェックマークを打ちながら過ごす日常とは全く異なる雰囲気。
こういう時に、自問自答する。
日々変わらずに続けることが、安定という名のものと、惰性になってはいやしないか?と。
はたまた、旅という名目のもと、
その日暮らしの行き当たりばったりが、無意識的に向き合うことから避けていることになっていないか?と。
環境が変わるだけで、思考もそれに伴い変化する。
雄大な自然の中に身を置き、どこまでも広がる海と空を眺めながら過ごす日々と、都会の小さな家に閉じこもって仕事するのとでは思考の奥行きと心の余裕度が異なるように。
去年から旅をすることは気軽にできない状況が続いているけれども、人混みを避け、ひっそりと「非日常」の中に身を置くことをこれからも定期的に続けていきたい。
2021.8.24
Kayo Nomura