個展 筆を持つ-Current State of Mind-

2016年4月2日-29日

Gallery GULI GULI (大阪府池田市)

Solo Exhibition “Current State of Mind”

2016 April 2-29

Gallery GULI GULI (Ikeda, Osaka)

春から新緑へと「移ろいゆく今」を紙面に閉じ込めました。

I captured the “Layers of this moment” from spring to early summer on paper.

 

普段、たくさんの色を使って描くのが好きです。でも、今回の展示は青と赤の世界に二分されました。それは、「生命の木(赤)」「生命の木(青)」という作品が出発点になっています。この作品を描く少し前に、大切な友人がとある病に陥ったことを聞きました。生きるか死ぬか、という高高いを繰り広げる彼女に対して、私ができることは、ただ、筆を持って、描くことだけでした。それは一見無力な行為のように感じましたが、私にとって、それは命を灯す行為そのものだということに、描きながら実感するようになりました。

仮に、生きる喜びに満たされている時期を赤い時代、悲しみに満たされている時期を青い時代と名付けるならば、そのどちらもの、共に大切な時期です。影がなければ光もないのと同じように、苦しみがなければ喜びを実感することもありません。だから、必ず両方に同様の価値がある。それを、今回の展示を通して伝えていきたいと思いました。友人は今も戦っています。だからこそ、私は筆を持ち続けるのだと思います。本展をつうじて、ご自身の中にある苦悩と歓喜を感じ、それを通して「今を生きるということ」に考えを巡らすきっかけになるとしたら、本望です。