旅と仕事の狭間で In Between Work and Travel


岡山での展示が終了しました。
初めての土地、数々の初めましてが交差した9日間。
「なぜ、敢えて岡山で展示を?」
と何人かの方に言われたけれども、
シンプルに一言で言うと、ご縁があったから。
さらに言うと、
旅と仕事の境界線を濁したかったから。
それは一体どういうことか?

● どこまでが何なのか
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展示をすること自体は仕事という位置づけ。
在廊し、来てくださる方々とお話をすること。
イベントをすること。
その一方で、
その地ならではの旬の物を食べたり
まだ行ったことのない美術館に足を運んだり
見知らぬ土地を歩き回ったり
行ってみたかったカフェに行ったり
という行為は旅の部類に入る。

あえて「仕事」と「旅」と分けるとそうなるけども
本当は、交互に入り混じっているもので、白黒つけれるものではない。
実際、展示をすることは仕事なのであろうか?
作品を展示し、それを気に入ってくださった方が購入くださる。
ある一面では仕事。
その一方で、
岡山にお住まいの方と話したり、交流を深めることは、
仕事とは言えない。
旅をしていても、その地の方と交流するものだし、
展示をしているという観点から言えば、その交流は深まりやすい。
● 絵を描く意味
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これまでに何度も書いたり話したりしているけれども、
昔から「人間」という存在に興味関心を持ってきた私にとって
描く行為は人をより良く知るための行為であるし、
人間を観察したり、自分の体験経験から得てきたことを咀嚼し、
文字ではないもので表現を試みる行為だ。
だから、私にとって、様々な地域に行くことは必然で
その土地その土地の方々と交流することも必要不可欠である。
多様な人間の中にある普遍なもの。
それを探求し続けることが、
私が絵を描き続けることの原動力にもなっている。
そのように捉えると、そもそも
旅=仕事にもなるわけで
また人生を通して探求していきたいことでもあるから
ライフワークにもなるわけだ。
● 旅のススメ
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これも度々言っていることだけども
旅に出ることで、非日常の空間に入ることができ、
その結果、色々なものをリセットできる。
行ったことない場所に身を馴染ませて
知らない言語が飛び交う中でご飯をして
色彩感覚の異なる土地を歩き回って
まっさらな気持ちで自分という人間
周りに存在している人間を「観察」する。
そうすると、よりクリアに、
見えてくる。理解できる。腑に落ちることがある。
私にとって、旅というのはまっさらな視点を取り戻す行為だ。
日常の中にいると、どうしてもフラットに見えないこともあるから。
日常という森の中に埋もれていくと、埋没してしまうこともあるから。
だから、要は
定期的に旅に出ることが必要だ、
ということ。
私にとって
「旅=道楽」ではない。
「旅=人生そのもの」である。

今年は色々な場で展示やイベントを開催したけども
これからも、様々な地域や国に出没していきたいと思っている。
以上、旅と仕事の考察について、でした。
2019.12.17 Kayo-bi
Kayo Nomura