時間と空間を超える芸術 Where Time Stood Still


私は絵を描く身として、
美術館に足しげく通う方だ。

サーっと眺めるだけの絵も
食い入るように見惚れる絵も
数多く見てきた。

でも、、、
フィレンツェのウッフィツィ美術館に
展示されているボッティチェリの「春(プリマベーラ)」、

この作品を見た時に、
ただ、絵の前に立ち尽くした。

時が止まった。

● 理屈ではないもの
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美術史に詳しい人でなくても知っている人は
多いと思う、ボッティチェリの存在を。

彼は、ルネサンス期に活躍した画家の一人で
晩年は政治状況の変化により貧困生活を強いられながら
亡くなった波瀾万丈の人生を生きた画家。

そんな彼の全盛期に描いた作品のひとつが「春」。

液晶テレビでいうと、
140センチほどの大画面になるぐらいの大作。

その大きさから感じられるエネルギーも圧巻だが
それだけでは、もちろんない。

キューピットや女神、妖精が描かれている本作は
宗教画としてではなく、結婚式のお祝いに描かれた
私的な目的の作品だといわれている。

同時期に描かれた「ヴィーナス誕生」も傑作だと言われており
同じくウッフィツィ美術館に展示されているのだが、

私は圧倒的に、「春」に惹かれた。
これは理屈ではなく、作品を目の前にした時に
魅了された感覚、の一言に尽きる。

● 絵の持つ力
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考えてみれば不思議なものである。

私はルネサンス期の作品にこれまで
全くと言っていいほど惹かれていなかった。

むしろ、毛嫌いしていたところもある。

それよりは、印象派を好んでいた。

でも、「春」は、これまでの私の持ち合わせていた
ルネサンス期の凝り固まったイメージを一蹴させたのだ。

どれだけその心境について語ってもキリがないが、
心底実感させられたのは、「絵の持つ力」。

陳腐な表現だし、ありきたりに思うかもしれないけども、
何百年経った今もなお、世界中の人々を魅了して止まず、
観るものを圧倒させる力がある本作には、エネルギーが
宿っているとしか思えない。

眺めているだけで、姿勢を正される想い。

中央のヴィーナスの深いまなざし。

● まとめ
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名作を観ることで、自分の作品のあり方を
改めて問い直す機会を得る。

私らしい表現で、絵を通して、人を導くには
どうしたらいいのだろう?

「春」を見終えた後、心の真ん中にある想いは
上記の問いだ。

おこがましいかもしれない。
一生かかっても、描けないかもしれない。

でも、それを目指すことそのものが
大事なのだと、自分に言い聞かせながら
今日も、また、筆を握りしめていきたいと思います。

● 一言編集後記
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フィレンツェに行く機会があったら
ぜひ見に行ってほしい。

そして、原画の持つ力に、触れてほしい。
あの、圧倒的なまでのエネルギーを。

・・・
人生を生きることは、芸術そのものである。
\Life is Art./

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2018.6.12 Tuesday(*KAYO-BI)
*KAYO-BI:毎週火曜日に更新しています。