うまくいかないこと、が人生の本質 The Essence of Life


今年に入って、改めて実感したことがある。

それは
「人生というのは、うまくいかないようにできている」
ということ。

何の壁もないスムーズな人生というのは、
どれだけ頑張っても実現しない。

具体的に何か大事件があったというわけではないが、

1つの紛れもない事実として、今私はそれをリアルに感じている。

だから、今回フランス旅行のお供に持ってきている
村上春樹の短編小説「女のいない男たち」の中にでてくる
「イエスタデイ」という小説の、
木樽という登場人物の言うことが痛いほどわかる。

● 2つの分裂した自己
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彼、つまり木樽君は、生粋の東京生まれ東京育ちながらも、
関西弁を関西人よりも上手に話し(というか、習得するためにわざわざ大阪に“ホームスティ”をした)、
まわりに自分を合わせることを拒む、いささかユニークな人柄の浪人生。

だからか、美人で生命力溢れる幼馴染であり恋人の栗谷さんが
浪人することなくストレートで大学生になった時から、
「自己が2つに分裂した」気持ちを味わうようになったのだ。

どういうことかというと、
「そのまま2人で仲良く大学にすんなり進学できていたら、
人生何の破綻もなしで、万事めでたしとなったはず」だったのだが、

同時に

「その後も自然で円滑で心地よく人生が進んで
行くことに対して問題を感じ」るようになり、

「人生とはそんなつるっとした、
ひっかかりのないものであってええのか」と疑問が浮上したのだ。
つまり、そのまま人生がスムーズに流れていってほしいと
願っていた自分がいる一方で、
波乱万丈で山あり谷ありの人生をどこかで望んでいる自分、
の2人の自己がいることを発見したのだ。

● 代償は支払われるもの
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その後、物語がどう展開していくのかに興味を持たれた方は、
小説を手にとって欲しいのだが
(まぁ本のタイトルからおおよその予想はついてしまうと思うが笑)、

何が言いたいかというと、
アダムとイブが楽園を追放されたように、
楽園で思う存分満喫した分だけの、ツケというか、
代償は必ず支払われるように人生はできているのではないか、ということ。

先の木樽君はうすうすそう感じていたからこそ、
大学試験に落ち、彼女との調和が少しずつ軋みだしたことを、
ある部分では「やっぱりな」と思ったということだ。

仮に
「人生というのは、うまくいかないようにできている」
というのが紛れもない真実だとしたら、
そこにどっぷり浸かり、身動きが取れなくなってしまう
自分から距離を置くために旅というものがあるのではないか、とフランスに来てみて思うのだ。

些細な歪みやちょっとした行き違いからから「問題」は発生し、拡大していく。

そしてその「問題」にどっぷり入りきってしまっている限り、
物事の本質は見えない。

旅は、そこから一旦客観的になり、俯瞰する機会を与えてくれる存在だ。
木樽くんのように自己を2つに分裂させなくとも、
いつの間にか忍び込んでくる不調和音。

一方で、長い目でみたら、それこそが、人生の最大のギフトだったということに気づく。

● 一言 編集後記
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結論として言いたかったかというと
・今を臆することなく、生きればいい
・どっぷり問題に浸かりすぎたら、その問題から客観的になれる場所にいけばいい
ということ。

本当はもっと軽めの「今フランスです、いえーい」
みたいな文章にするつもりだったのだが、、笑
ということでおまけ◎


Sunset at 9pm in Nice, France.
日が長い☀︎
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2017.5.30 Tuesday(*KAYO-BI)
Kayo Nomura
*KAYO-BI:毎週火曜日に更新しています。

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