December 2023
音楽:Osamura Hajime
場所:P!NTO SEATING DESIGN 南青山店
NEW BEGINNING 〜新しい始まり〜
昨年に続き、音楽家のはじめさんと椅子に描くライブペインティングを行った。
彼がどんな音楽を当日奏でるのか、知らないまま、当日を迎えたのも昨年同様。
事前にテーマだけは共有していて
今回のそれは「NEW BEGINING -新しい始まり-」
個人レベルで言うと、縁もゆかりもない北海道という地に住居を移した。
アーティストインレジデンスを通して、新しい扉がたくさん開いた。
これまでの延長線上の生き方から路線変更する決意をした年だった。
世界レベルで言えば、ようやくコロナ禍のカオスが落ち着き
人の移動が活発になった年だった。
閉ざされた数年から一気にリアルでの交流が広がった年。
それを意識して選んだテーマ。
【新しい始まり】
約1時間の中で、その場その瞬間で奏でられる音楽から
感じたものを、瞬時に色で捉え、それを形で表現していく。
その繰り返しから、いつの間にか作品が出来上がる。
途中、はじめさんの音楽が不調和音を生じた。
それは前回にはなかった音の連なり。
正直、居心地が悪かった。
その違和感に共にいながらも描き続ける。
その時選んだ色は青と紫と茶、それを泥のように混ぜ合わせた色。
筆の代わりに爪で引っ掻きながらも描いた。
そこから抜けて煌めく音になった瞬間、
咄嗟に選んでいた色は金色だった。
そこに光の線をいくつも描いた。
シュッ、シュッ、シュッと。
用意された2つの椅子は
自ずと光と影を象徴する作品に仕上がった。
ひとつは夜、闇
ひとつは朝、光
ライブが終わった後に、はじめさんとのトークで彼はこう言った
「新しい始まり、と聞くと、輝かしい前向きな思いだけがクローズアップされるかもしれない。
でも新しい始まりの裏には、終わることの悲しみも含まれている。
その闇にも光を当てたかった。」と。
そういうことだったんだ、と深く納得した。
終わりがあるから始まりがある。
始まりの前には終わりがある。
その「終わり」には寂しさや悲しみや苦しみや
一般的に負と言われる感情を伴うことが多い。
でも、それを見ずに過ごすと始まりもなぜか濁る。
それにしてもあの不調和音はきつかった。
でも、それを体感しながら描くことで
闇の中にいる感覚をありありと実感できた。
それは、とてつもなく大切な時間だった。
「ある」ものを「ない」ことにしてしまうのは簡単
だけど”通過”させることで 細胞に染み込んだ。
本当は、光と闇はひとつのものなのだということが。
と、こうやってとりとめもなく言葉にしつつも
ライブペインティングの所感を伝えるのはいつももどかしい。
言葉で伝えられるようなものではないから。
本当は共に見て聴いて体感してほしい場。
ライブはその名の通り
「今」を生きることを
目覚めさせるスイッチとなる。
「今この瞬間」に意識をむけ
そこで感じる全てを体感しながら
アウトプットする行為。
お越しいただきました皆様
ありがとうございました。
A period means another start.