O.M. 様

「朝、目が覚めた時に明るい方向を向ける絵を」。そうリクエストして描いてもらった絵は、思いがけず自分の内面への気づきと問いをくれる絵でした。

自分の中の「好き・嫌い」「良い・悪い」「美味しい・不味い」「美しい・醜い」「幸せ・不幸せ」「喜び・怒り」「光・影」、、、

そもそも、私が示した「明るい方向」とは、私が本当に望んでいるものなのか、と。

この絵を見ているとき、私は自分の内面を見ます。

表層的なことではなく、もう少し深いところに目を向けること。滋味深さを知ること、味わうこと。仄暗い中にいてなお、大切なものを見失わず、歩みをやめないこと。

野村さんの絵は、そのための力をくれます。また時にフラットな心を取り戻すきっかけをくれます。そしてそのオートクチュールな感覚を、私は朝に夕に感じるのです。

繊細な色のニュアンスや重なり、滲み。見逃してしまうくらい細やかに描かれた模様。一瞬を切り取ったような、それでいて今なお形を変えているようなフォルム。

野村さんの絵を眺めることは、好きな詩の一節に思いをめぐらせることに似た愉しみがあります。

日々の暮らしに溶け込みながらも、私の心の内側に語りかけてくれるこの絵は、私にとってとても大切な1枚となりました。